目次
障害福祉・介護職員処遇改善加算制度の今までについて
これまでの処遇改善加算制度
処遇改善加算制度の概要
まずは、令和4年度までの処遇改善加算のおさらいとして、本制度の「各種処遇改善加算」についてお話していきます。
こちらの加算に関しては、障害福祉・介護職員の低廉な賃金に対する待遇の改善という観点から制度化された国の施策です。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000953647.pdf(厚生労働省 介護職員処遇改善加算)
上記の画像の「全体のイメージ」部分のように、処遇改善加算制度はその制度の内容が毎回検討され、現在では3種類の制度に分化されています。
簡単に各制度の概要を説明させていただくと、
Ⅰ.処遇改善加算
いわゆる通常の処遇改善加算です。「加算Ⅰ」「加算Ⅱ」「加算Ⅲ」とありますが、各加算の算定要件はそこまで厳しいものではないので、「加算Ⅰ」を取得している事業所が殆どではないでしょうか?
制度上、サービス管理責任者(児童発達管理責任者)や管理者、専門職(言語聴覚士や作業療法士)として人員基準に配置されている従業員に対しては加算として得たお金を分配することはできませんが、管理者に限っては通常の従業員と同じ業務(要は現場で利用者の対応をする)に係る労働者としての性質がある部分に対してのみ、分配することが可能です。
Ⅱ.特定処遇改善加算
2019年10月に創設された制度で、技能や経験がある職員に対する賃金改善を目的として創設された制度です。
処遇改善加算と比べ加算率が低いため、金額的にはそれほど多く分配可能なものではないのですが、サービス管理責任者や管理者、専門職や事務担当職員にも分配が可能なため、より汎用性がある加算といっても良いでしょう。加算の種類は「加算Ⅰ」と「加算Ⅱ」があり、特定の加算を取得している場合には「加算Ⅰ」を取得することができます。
ただし、通常の処遇改善加算と異なり、分配の際に従業員のグループ分けを行い、指定された分配比率通りに手当を分配する必要があります。
Ⅲ.ベースアップ等支援加算
2021(令和3年)11月19日に閣議決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、福祉・介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円相当)引き上げるための措置が実施されることになった際に創設された「福祉・介護職員等臨時特例交付金」及び「介護職員処遇改善支援補助金」(2022年2月~9月の間で実施済)を2022年10月以降も持続させるために創設された新しい加算です。
分配の方法としては臨時特例交付金や支援補助金と同じく、受領した金額の3分の2(66.7%)以上を固定賃金引き上げのために分配する必要があるという制度です。
加算率は特定処遇改善加算と同様にそれほど大きくなく、売り上げによって9,000円の引上げは難しい事業所もあると思いますが、およそ3,000円~12,000円程度の範囲で新手当の分配を行っている事業所が多い様子です。
ちなみに、固定的賃金として分配する必要のない受領額の33.3%の部分については、賞与(一時金)で支払うことも可能ですが、賃金改善実施期間の設定期間によってはレセプトが発行される前に分配を行わなければならない事業所もあるかと思いますので、その点は特にご注意ください。
令和5年度の変更点
令和5年度処遇改善計画書及び令和5年度処遇改善実績報告書の様式変更
2023年1月16日の社会保険審議会(介護給付費分科会)にて処遇改善加算等の申請様式の簡素化についての案が議論されました。
内容としては下記の図の通りとなります。


つまりどういう事かというと、今まで処遇改善計画書については各加算(3つの加算)ごとに受領したそれぞれの加算の額がきちんと分配される予定であるかを、前年の1月~12月までの賃金総額と計画書を提出する年度の4月~翌年3月までの賃金総額と比較させて確認をしていました。
しかし、今回の簡素化の改定により「賃金改善の見込み額」が加算の見込みが額を上回ることを確認するだけに留め、また前年度との比較を求めず、加算以外の部分で賃金を低下させないことの誓約を求めるのみとなりました。
一方、実績報告書については今までそれぞれの加算ごとに賃金改善額が加算額以上であることを確認しておりましたが、こちらも簡素化により、それぞれの加算の対象者ごとではなく、3加算一体で計算するというものになりました。
要は各処遇改善加算等の加算部分以外の賃金の部分で賃金を低下させていないかという部分をチェックするのみとなったようです。
実績報告書については来年様式が確定するかと思いますので、具体的なことは断言できませんが、結局賃金を低下させていないかというチェックをする際に、前年度の賃金総額を求めるのであれば、あまり簡素化には結びつかないかと思いますが。。
いずれにせよ、簡素化が行われることにより今まで行政書士や社労士の先生に委託していた事業所も計画書や実績報告書の作成について自己完結できるようになれば良いですね!
引き続き、このブログでは最新の情報をピックアップして発信していきます。